腎癌
- 腎臓は腰の上あたりに左右1つずつ計2個あります。
- 主な働きは尿をつくり体内の老廃物を排泄することですが、その他に血圧、造血や骨の状態を調節する働きも担っています。
- 腎臓にできるがんを腎癌(別名:腎細胞癌)といいます。
- 発生頻度は人口10万あたり23.1人、男女比は2:1で男性に多い傾向があります。
- 早期がんでは自覚症状はなく、健康診断や他の病気の精査中に偶発的に発見されることが多く、がんが大きくなってくると血尿、腫瘤触知、側腹部痛といった症状が出現することもあります。
- 肥満、高血圧、喫煙、透析等が発症の危険因子です。
診断方法
超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像検査により診断します。中でも造影CT検査(造影剤を注射して撮影するCT検査)が最も情報量の多い検査となります。診断後、転移がないかどうか全身検査を行い、病期に従って治療方針を決定します。
CT検査
治療方法
1.限局性腎癌 (転移のない腎癌)
外科的手術
最も根治性の高い治療法です。腫瘍を切除する方法には、根治的腎摘除術と腎部分切除術があり、当科ではいずれの術式も、原則として手術支援ロボットを使用して行っています。いずれの術式を選択するかは、腫瘍のサイズや位置によって判断しますが、手術支援ロボットの導入?症例蓄積により、当科ではサイズの大きい腫瘍や埋没している腫瘍に対しても、必要に応じて積極的に腎部分切除術を検討しています。
切除した腫瘍の病理検査結果次第では、再発を予防するために術後に薬物療法を追加する場合があります(術後補助療法)。

代替治療
腫瘍のサイズが小さく、また、手術の侵襲を避けることが望ましい場合には、ラジオ波焼灼術や凍結療法(当院には未導入)などの局所治療や、腫瘍サイズの変化を経過観察する監視療法などの代替治療を考慮する場合もあります。
2.転移性腎癌
薬物療法
薬物療法の進歩により、治療成績や患者さんの予後は向上しています。免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬を使用して治療を行います。特に一次治療(最初に行う薬物療法)では、免疫チェックポイント阻害剤2剤、あるいは、免疫チェックポイント阻害剤と分子標的薬を組み合わせた免疫複合療法が主流となっています。患者さんや癌の状態に応じて、使用する薬剤を選択します。
腫瘍縮小手術
腎癌では、転移していても、腫瘍のボリュームを減らす目的で腎摘除術を行ったり(腫瘍縮小腎摘除術)、完全切除可能な場合は転移巣の切除も行ったり(転移巣切除術)する場合があります。手術を行うかどうか、また、そのタイミングについては、患者さんや癌の状態に応じて判断します。